コロッセオの地下に第二神殿?CMB第4巻の設定が持つ歴史的なヤバさ

シェアする:

えー先日、宗教なんてデリケートな話題に触れました。

実はこれには明確な目的がありまして、

漫画『C.M.B.』の4巻を楽しく読むためです!

CMBというのは科学をテーマにしたミステリ漫画で、第4巻では「コロッセオの地下に第二神殿がある」という設定を題材に、宗教や歴史の謎が絡むエピソードが描かれています。

この時点で設定のヤバさに気付きますか?

僕は歴史が苦手で意味が分からなかったです。

というわけで、今回はCMB4巻の舞台になっている「コロッセオ」と「第二神殿」を軸に、そこに関わる歴史や宗教の背景を順を追って整理してみます。

C.M.B.の4巻に書かれてある内容

めちゃめちゃネタバレするからな!

『C.M.B.』というのは加藤元浩先生が描いた漫画です。 加藤先生や作品については末尾のオマケに書いておきます。

CMBは、博物学や歴史学をサスペンス調に書いた作風で、第4巻はざっくりとこんな展開です。

  • イスラエルの調査員がローマの遺跡を調査する
  • コロッセオの地下に第二神殿らしきものを見つける
  • 同じ調査団の人に口封じされる

…えっ、あ、はい。

緊迫感は伝わるものの、当事者の心情というか、なんでそんな行為に及ぶのかがさっぱり分からない。

ChatGPTに背景事情を聞いてみたところ、

一神教の歴史的な背景があるよ。

と言われたので、宗教について調べたわけです。

どうせならね、背景込みでCMBを味わいたいなと思ってもうちょっと調べることにしました。

ざっくりとした歴史的な背景

3者の対立、宗教観の違いから、かなりややこしくてですね。

まず『第二神殿』というのはユダヤ教の聖地です。

破壊したのはローマ帝国で、ユダヤ戦争の際に奪った戦利品(財宝など)が『コロッセオ』建設の資金源になったとも言われています。

ローマ帝国は4世紀にキリスト教を国教としたため、キリスト教も関係してきます。

中心にいるのはローマ帝国なので、ユダヤ教とキリスト教、それぞれの視点から何が起きたのかを時系列で整理します。

あ、そだ。

全てChatGPTに聞いた情報なので正しいかどうかは分かりません。 正確なことが知りたい人は自分で調べてくださいね。

ローマ帝国とユダヤ教の関係

ユダヤ教は唯一神YHWHを信仰する宗教で、紀元前5世紀からあったそうです。 第二神殿はユダヤ教の信仰の中心とも言える建物。

ローマ帝国とユダヤ教の関係は次のような流れになります。

  1. 紀元前1世紀からローマ帝国が地中海周辺でブイブイ言わせていた
  2. その過程でユダヤ地方(現在のイスラエルら辺)が支配された
  3. 帝国支配とユダヤ教の唯一神信仰が合わず、100年くらい反発が続いた
  4. 限界が来たユダヤ教徒は西暦66年にローマ帝国に対し反乱を起こした(ユダヤ戦争)
  5. その過程でエルサレムの第二神殿がローマ帝国に破壊された
  6. この時の戦利品でローマ帝国はコロッセオを建造した

このように、ユダヤ教徒から見れば「ローマ帝国=敵」という構図が生まれ、 コロッセオもその象徴の一つと見なされるようになります。

ここまでは流れが理解しやすい。

ローマ帝国とキリスト教の関係

キリスト教はもともとユダヤ教の分派として発生したらしく、イエスを神と認めるかどうかで明確にユダヤ教とは異なります。

キリスト教とローマ帝国の関係は次のような流れになります。

  1. 1世紀にキリスト教が誕生
  2. ローマ帝国vsユダヤ教の時点では、まだまだ小規模
  3. 1~3世紀で徐々に勢力を拡大し、ユダヤ教からも完全に独立
  4. キリスト教も一神教なので帝国崇拝を拒み、ローマ帝国から弾圧される
  5. コロッセオで多くのキリスト教徒が処刑されたという説もある
  6. 4世紀にキリスト教がローマ帝国の国教になる

最後なんでそうなる!?

日本人に理解しにくい部分を補足

日本人というか、多神教の宗教観というか。

僕が理解しにくかった部分を補足します。

なぜキリスト教がローマ帝国の国教になったのか

3世紀までは反帝国勢力として弾圧の対象で、コロッセオでは信者が処刑されたなんて説もあるのに、なぜキリスト教がローマ帝国の国教となったのか。

まず、ローマ帝国は今の南ヨーロッパから中東、アフリカ大陸北部にまで支配地域が及んでいました。 非常に広範囲だったため、統治のツールとして「帝国崇拝」のように統一されたイデオロギーを使ったそうです。 いわばローマ帝国を神としてあがめる考え方。

これは一神教であるキリスト教と相性が悪いです。 自分たちの信じる神の上にローマ帝国が来るわけですから当然。 これはユダヤ教も同じで、だからこそ反発が起きていました。

ところがですね。

視点を変えると、一神教というのは非常に統治に向いた構造をしています。 最上位に神様がいて、信者はその教えに素直に従う。

ローマ帝国からすると、自分たちの宗教観よりも「統治の安定」に役立つという理由でキリスト教を受け入れ、結果的にそれを国の枠組みに取り込んだのが『国教化』だったわけです。

さてさて。

ローマ帝国側にはメリットがある国教化ですが、キリスト教徒からしたらこれまで弾圧してきた連中なわけですから、さぞかし複雑な心境だったでしょう。

ただ、キリスト教的な解釈では、「ローマ帝国が神の下に置かれた」とも捉えられるため、信仰上の矛盾はあまり生じなかったようです。

つまり、政治的に勝利したローマ帝国と、宗教的に勝利したキリスト教の利害が一致したと。

これは理解できなくもない。

コロッセオがキリスト教の聖地になった

これが全く分からん。

コロッセオはキリスト教徒を処刑した場所だとされていて、僕の感覚だとキリスト教にとっては忌むべき場所だと思うんです。 それこそユダヤ教と一緒になって、

コロッセオをぶっ壊せぇぇ!!

となってもおかしくない。

一方でキリスト教では、苦難を『神への忠誠』や『神からの試練』と捉える考え方があり、そうした出来事の舞台は『信仰を貫いた場所』として聖地視されることもあるそうです。

…全く分からん。

この『分からなさ』こそがまさに宗教観だと思うので、「キリスト教ではそういうもの」と知識として受け止めようと思います。

キリスト教が国教になるとどうなるのか

ここまでの経緯をまとめるとこうなります。

  • ローマ帝国とユダヤ教は敵対した
  • ユダヤの聖地である第二神殿がローマ帝国に破壊された
  • ユダヤ戦争で得た戦利品の一部がコロッセオ建設に使われた
  • ローマ帝国はキリスト教とも敵対した
  • コロッセオでキリスト教徒が処刑された
  • 宗教的にキリスト教が、政治的にローマ帝国がメリットを得ることで、両者がひっついた
  • コロッセオはキリスト教の整地となった

キリスト教とローマ帝国が合体したことで、おかしなことが起きます。

いいですか?整理してください。

ユダヤ地方を支配したのは誰ですか?
第二神殿を破壊したのは誰ですか?
その戦争で得た戦利品を使ってコロッセオを建てたのは誰ですか?

全部ローマ帝国です!

しかもキリスト教が関係ない時代のな!

にも関わらずですね、4世紀以降の、すでにローマ帝国がキリスト教化していた時代の人たちから見ると、ローマ帝国=キリスト教になってしまってるので、

ユダヤ地方を侵略したのも、第二神殿を破壊したのも、コロッセオを作ったのも、全部キリスト教のせいじゃぁぁあ!

…というおかしなズレが起きます。

もともとユダヤ教とキリスト教はイエスを神と認めるかどうかで対立があったので、全部キリスト教のせいにして悪者にした方が構造的に単純になります。

こういう複雑過ぎる背景事情があるところへ、

CMBの設定が乗っかってくるわけです。

コロッセオの地下に第二神殿があるとどうなるのか

これね、めちゃくちゃよく考えられた設定です。

時系列で辿ると、

  • 西暦70年に第二神殿を破壊
  • 西暦72年にコロッセオ建設開始
  • 建設には戦利品や奴隷が使われた

第二神殿を破壊してすぐにコロッセオ建設を始めているので、タイミング的に第二神殿の残骸をコロッセオの建設に使っててもおかしくないんです。

しかもコロッセオの場所は池を埋め立ててるので、地盤が軟弱=埋め立て材が必要=地下に埋められる、というのまで合致します。 後の時代にコロッセオ自体も石材供給源として一部解体されていることから、当時のローマでは建材が慢性的に不足していたと考えられます。

さらに、「ティトゥスの凱旋門」というところに第二神殿から奪ったメノラーが描かれていて、第二神殿からローマまで物が運搬された証拠まで残ってる。

ほんとにコロッセオの地下に第二神殿があるかもしれない…。

第二神殿が埋まってるとなると、ユダヤ教徒視点では、自分たちの聖地の上に敵対勢力の聖地が建ってることになります。 さらには第二神殿の財宝、たとえば伝承上の聖杯やモーゼの杖のような象徴的な遺物も眠ってるかもしれない。

コロッセオをぶっ壊して、第二神殿の奪還じゃぁぁ!!

…となりかねません。

一方キリスト教側としても、18世紀には正式にコロッセオを聖地として認定していて、バチカンのメンツにかけて聖地を破壊させるわけにはいきません。

いざ、そんなことになったりしたら…。

戦争じゃぁぁ!!

世界中に散らばったキリスト教とユダヤ教を巻きこんで、世界大戦になるかもしれない…。

いやいや、そうはならんやろ。

というのは多神教的な考え方。 あくまで想像ですが、一神教における神の唯一性を考えると、お互いに譲れない部分なんだと思います。

まぁそんな経緯で、大事になるのを危惧した同じ調査団の人が口封じしたようです。 口封じしたのがローマ側だったりしたら戦争は不可避なので、これもよく考えられた安全な落とし所だったのかなと。

余談ですが。

加藤元浩先生は、読者の誤認で遊ぶようなところがあると思ってます。 QEDの主人公の紹介文が発達障害を連想させるようなことが書いてあるんですが、本編を見てると真逆の存在なんですね。 あれは読者で遊んでそう。

だから今回の話も、「多神教の日本人にはこの設定のヤバさが伝わらんだろう」というのを安全弁として使ってるのかなと思ったり。

最後に

いいですか、大事なことなのでよーく聞いてくださいね。

コロッセオの地下に第二神殿は埋まってないからな!

これ、漫画の話だから!

背景事情を知るとかなり危険な設定に思えますが、日本では表現の自由としてこうした描写も許されています。 なんてたって唯一神YHWHがゲームのボスキャラとして登場しても問題にならない国ですからね。

シャベル持ってコロッセオ行かないでね…。

僕は背景を知れて勉強になりました。

オマケ:加藤元浩先生について

アキバ事件の犯人と名前が似てるけど別人です。

加藤元浩先生は漫画家です。

代表作はたぶん『Q.E.D.』、ついで『C.M.B.』。 失礼ながらジャンプの漫画家と比べると、

そこまで有名じゃないと思います。

でも僕にはめちゃくちゃ刺さった漫画家で、数学や科学を素人でも読めるように噛み砕いてて、それをサスペンス調で漫画にしてくれてるんです。 科学史をメインにした金田一少年みたいな感じ。

金田一も今の人は分からんか。

どういう経緯で加藤元浩先生を知ったんだったかを思い出せなくてですね…。 僕はいつ頃からか新規開拓がだるくなっていて、メジャータイトルすら読まなくなってたのに、何故かこれは読んでるんですよね。 最初に読んだのは『Q.E.D.』でした。

おもしれー!オイラーすげー!

となって、そこから他の作品も読みました。 僕はずっと数学が大嫌いだったのに、数学って面白いんだと思わせてくれました。 僕の価値観に大きな影響を与えた作家さんです。

先生の作品で、QEDとCMBを勝手に2大巨頭オにしますが、コンセプトはたぶんこんな感じ。

  • QED:数学メイン(物理学もあり)
  • CMB:博物学メイン(歴史や薬理学もあり)

学問メインだけど前提知識がなくても普通に読めます。 物理・数学・薬理・歴史、どれも僕の興味に刺さるジャンルで、とても面白く読ませてもらいました。 博物学という言葉もこの作品で知りましたが、『神の財産目録を作る』という表現にとてもとても惹かれたのを覚えています。

家族にも勧めたところ、ゴリゴリ理系じゃない場合はCMBの方が面白いらしくて(QEDの数学がちょっと難しい)、興味を持ったならまずはCMBから読むのがいいかもしれません。

他にも、『ロケットマン』が面白い!

読み味がQEDやCMBと違ってて、物理とか数学に没頭した人のロマンだけ抽出したような作品。 サスペンスあり、バトルあり、ミステリーありで、

僕的には一番面白かったです。

難しく考えずに読めるし、難しく考えても面白いですよ。

シェアする: